奇妙な同盟

ルーズベルトスターリンチャーチルは、いかにしていかにして第二次大戦に勝ち、冷戦を始めたか-
著:ジョナサン・フェンビー
訳:河内隆弥
藤原書店(2018/04)
ISBN:9784865781618/9784865781625
世界史Bの教科書では、この三巨頭はヤルタとポツダムでの会談のみを取り上げているが、当該三国の関係者を含めると、27回(下巻p728/9)も折衝している。
当時の関係者の記録を丹念に渉猟し、出席者が開催した宴会で出た料理・酒に至るまで細部を再現した本。
ルーズベルトは、病床の身でありながら、合衆国大統領としての矜持を保ち、
チャーチルは、戦火を交えた当事国である大英帝国の帝国たる部分を保持しようと努力し
スターリンは、大国ソ連の独裁者としての強固な意志を貫き通す。

チャーチルの合言葉は、「KBO」キープ・バガリング・オン[男っぽくやろうぜ〕(上巻p29)
ルーズベルトは、戦争の初期の頃から、かれの国は間違いなく勝つだろう。と思っていた(上巻p35)
ロンドン亡命政権にいたシャルル・ド・ゴールは、真珠湾の重大性について疑いを抱いてなかった。「その結果ははっきりした。戦争は終わったのだ(中略)アメリカの国力に抵抗できるものはいない」(上巻p139)
ノルマンディ上陸作戦の前夜、チャーチルは妻に「きみが明日の朝目を覚ますまでに、二万人の兵士が死ぬのだよ」。と言った(下巻p479)・・・実際はその2倍以上だった・・・

ロシアの小話
三人が狩りに出て熊を仕留めた。
チャーチルは、皮を取り肉をスターリンルーズベルトに渡した。
ルーズベルトは「皮は私が貰うよ。肉はチャーチルスターリンで分けてくれ」と言った。
スターリンはずっと黙ったままだった。二人がどう思うか聞いた。
「熊は私のものだ - つまるところ、私が殺したのだから」と彼が答えた。(下巻p640)