大いなる聖戦

第二次世界大戦全史-
著:H・P・ウィルモット
監訳:等松春夫
国書刊行会(2018/09)
ISBN:9784336062925/9784336062932
戦争を遂行するのが国家で、戦闘を行うのは軍隊、そして戦いに直面するのが個々の人間である。(上巻p22)
本書は、最初の二つに焦点を当てて扱っているが、三つ目もどうしても現れ出でてくる。
エニグマ暗号解読の話も出てくる(下巻p39)
人間の尊厳・自由な活動を妨げる思想を打ち破るために多大な犠牲が強いられた大戦であったが、勝者敗者が逆転していたら“殺戮・奴隷化”が必至であったろうことを鑑みると、意味ある代償であった、と述べる(下巻p415)
インターネットによる表面的で中身にない情報の氾濫(中略)でわきまえていない個々人がほとんど意味も重要性もない論議を展開している(下巻p435)ことに苦言を呈する。
著者は、第二次世界大戦として括られている出来事は、1939年から45年までという通常の時間的枠組みで捉えるべきものではなく(中略)日本が中国大陸への介入を本格化させた1931年で、終点は(中略)サイゴン陥落(中略)として、1975年である(下巻p436)
と最後に述べている。
概略として分かりやすいのは、NHKの「映像の世紀」で、そこには、ファシズムが台頭し外延国を侵略したのに対し連合国が民主主義の旗の下押し返しで勝利した・・・と映像が示している。
簡単に記号化されてしまい、分かったつもりでいたが、書籍内に分け入るととてもそのような単純なものでは無かった。