人はどこまで合理的か

著:スティーブン・ピンカー
訳:橘 明美
草思社(2022/07)
ISBN:9784794225894/9784794225900
原著は、2021年なので、ロシアのウクライナ侵攻前。
時期的間に合えば、戦争は「非合理の極み」として全面的に書き換えがなされたことと思う。
原著副題:理性とは何か、なぜそれが乏しいように見えるのか、なぜそれが重要なのか

人間の本性を理解するには人類が進化した環境と今日わたしたちが置かれている環境の違いを考察するしかない(上巻p12)

この世界で時折災厄が続くのは、わたしたちの罪を罰し、信仰心を試す神がいるからではない。むしろその逆で、災いの間隔を常にあけてくれる神がいないからである。(上巻p238)

(人間の非合理性について)誤った信念がその持ち主の精神力や部族への忠誠をどれほど効果的に示していようとも、それが誤りであることに変わりはなく、この世界の冷酷無比の現実によって罰せられずにすむはずがない。(下巻p198)

真実の基準が崩れれば民主主義は弱体化し、専制政治に場所を明け渡すことになってしまう。(下巻p214)

合理的に考えたら、“戦争”は、最も忌避すべき行動である。然るに何故そのような事を敢行するのか?
国営放送等で世論が操作されるとその多くの国民は支持するが、普遍的な立場からは決して合理的な選択とは思えない。