-あなたの意思はどのように決まるか?-
著:ダニエル・カーネマン
訳:村井 章子
ハヤカワ文庫 NF
ISBN:978-4-15-050410-6/978-4-15-050411-3
本書は、人間の意思決定を「二重過程理論」で定義する。「二重」とは、脳内の情報処理や認識を司る二つのシステムのことであり、システム1とシステム2と名付けられている。
システム1は直感や感情を、システム2は熟慮を担っている。
平常時は、システム1に判断を任せて省エネモードになっている。
システム2は、システム1の判断や決定をモニタし修正する働きがあるが、怠け者である。
著者は、「人間の選択が不合理であることを示した」と紹介されることが多い(下巻p319)とやや自嘲気味に記しているが、逆手に取って所謂“プロパガンダ”方面の下心を持つ輩が悪用することも可能な書物とも言えるであろう。
2021.03/30の書評「人体、なんでそうなった?」で、「ヒューリスティクス」を取り上げているが、その言葉は「見つけた!」を意味するギリシア語のユーレカを語源に持つ。(上巻p177)
有名なプロスポーツ選手について、
成功には多くの場合運が味方しているというのはとくに驚くべきではない(上巻p314)
(たまたま出場できた)トーナメントで(たまたま)良いスコアを出して有名になっても本当の力が無ければ「平均回帰」という仕組みで、それ以降は不振に陥る・・・ことは、岡山県出身の若手ゴルフ選手に実例を見かける。
本当に実力ある選手の成績については、W杯スキージャンプの第一人者を挙げれば、自明であろう。
アプガースコア(指数)が定められたきっかけ(上巻p396)は、ウィキペディアにも記載されていない。