人体、なんでそうなった?

-余分な骨,使えない遺伝子,あえて危険を冒す脳-
著:ネイサン・レンツ
訳:久保 美代子
化学同人(2019/07/31)
ISBN:9784759820102
かつて、「アブラハムの宗教」の信奉者に対して、何故あなたは信じるのか? と尋ねたことがある。
「世界中のあらゆるものが須らく整然と美しく整って進行している様の裏には、これを創造したものがあるからに違いない。特に人体の整然さにおいておや。」
と言った。
本書は、特段、ダーウィンの進化論を(リチャード・ドーキンスの如く声高に)引くことはなく、創造主は居ない・・・ということを順序だてて述べた本。

人間の細胞分裂の頻度:毎秒100万回以上(p84)には驚いた。

DNA研究で秀でた業績を挙げたバーバラ・マクリントックは、1983年にノーベル生理学・医学賞を受賞した。
リーゼ・マイトナーは、核分裂反応を発見したが、1800年代だったため貰えなかった。

人間の解剖図における卵巣と卵管の位置関係について、なぜ物理的につながっていない(p141)のか・・・については、(進化の結果)奇妙だがそうなっているからという説明に、初めて納得した。

人間の「脳はできるだけ時間を節約するように進化してきた。これをヒューリスティクスと呼ぶ(p202)
これが認知バイアスにつながり、“自分の偏った考え方を、公平で客観的な考え方”と思い込んでしまう・・・と解説する。