アードルフ・ヒトラー

―ある独裁者の伝記-
著:ハンス=ウルリヒ・ターマー
訳:斉藤 寿雄
法政大学出版局(2023/04)
ISBN:9784588366109
原著:2018年で、最新の研究成果を反映した伝記の決定版・・・という売り込みの本。
その生涯を、徹底した自己演出と、部下を巧みに競わせる政治スタイルに着目して描き出す・・・と標榜している。

確かに、・・・
入試に失敗し職にも就かず暮らしていた青年が、大衆の指導者に上りつめ、第一次世界大戦で疲弊していた人びとの熱狂を呼ぶ。なぜ政治的に未知数の人間がこれほど強大な権力を手にし、とてつもない破壊を引き起こしたのか。
・・・ということを描いてはいる。

マルティン・ニーメラーが語った「金言」(p167)
ナチス共産主義者を引っぱっていったとき、わたしは黙っていた。わたしは共産主義者ではなかったから。
社会民主主義者を牢獄に入れたとき、わたしは黙っていた。わたしは社会民主主義者ではなかったから。
カトリック教徒が連れて行かれたとき、わたしは抗議しなかった。
彼らがわたしを迎えに来たとき、抗議するひとはだれも残っていなかった。
は、忘れずに収録されている。

“最新の研究成果”とPRするなら、
ヒトラーが忠誠心を確保するため、専制君主のやり方で配った多大な特典、物質的・象徴的な贈与(p323)
の具体的な内容を開陳するサーヴィスも欲しかったところ。

だが、本書は大変読みにくく分かりずらい箇所が多々ある。途中で眠くなったところもあることを白状する。機械翻訳に頼った?