アメリカ史の真実

―なぜ「情容赦のない国」が生まれたのか-
著:セシル・チェスタトン
訳:中山 理
監修:渡部 昇一
祥伝社(2011/09)
ISBN:9784396650476
原著は、1918年に著された。当時の世界環境と(イギリス人)戦病兵であった著者の見地からアメリカ史を自分なりに消化して書き上げたものである(p6)
参考文献が限られる中での史実上の誤記や本人の記憶違いは、巻末に校訂・脚注が付されている。

主な項目は、
・植民地時代の黒人奴隷の位置付け
・独立宣言と独立戦争
・合衆国憲法
・リンカン大統領
南北戦争の始まりとその後

本多勝一氏は、「アメリカ合州国」と言い表したが、アメリカ諸邦連合:USAは、
「各州」と「各州連邦」の狭間で、人衆が分離され不平等なまま、近視眼的な立場を優先する国家であるのだなと認識した。

リンカンは、当初は奴隷解放論者では無く、南部連合離脱阻止を図るため武力に訴えた。
南部奴隷解放は、奴隷:敵の資産、を没収する目的で宣言がなされた(p319)ということは、新鮮に響いた。

見方が違うと言えば、p344の記述
黒人は人間であり、人間として自然権があったが、アメリカ市民の特権を要求する権利は無かった。
黒人は市民としてアメリカに来たわけではない(中略)黒人は奴隷として連れてこられ、入国
というくだり。

移民は自己意識による選択の結果として他国移住を望むが、奴隷は強制移住させられた。

理由も言わず、許可も得ず、自ら選んで仕事をせずにぶらぶらする権利の有無が、自由と奴隷制との本質的な違いである。(p365)
その(共和制に至る)歴史を知らず、いきなり無保護で放り出された結果も現在の姿に至る一因ではないかと思い至る。