チベット潜行十年

著:木村肥佐生
中公文庫(1982/07発売)
ISBN:978412200943X

「秘境西域八年の潜行」の著者:西川一三も登場する太平洋戦争当時の大陸潜行記。
当時は、「秘境」だったかも知れないが、現在グーグルマップで見ると、よほどの山岳地帯以外は、人家が立ち並び、しかも、高速道路が張り巡らされていて本書の「探検記」の面影は無い。
本書中に概略探検地図が出てくるが、カタカナ地名表記の所はマップ上では漢字地名表記になっているので、甚だ再確認を難しくしている。
例えば、
シガツェは、現在中華人民共和国チベット自治区シガツェ市「日喀則市」となり、1市轄区・17県を管轄する。
市内唯一の市轄区はサムドゥプツェ区で、これが旧シガツェとなるらしい。
ギャンツェは、シガツェ市にある17県の一つ(これは日本とは違う)。漢字は「江孜」。

中国ではストリートビューは機能しないが、YouTubeでは「Driving in China Tibet Highway」とかいうキーワードで、道路走行動画が沢山アップされている。
著者の時代(ラマで移動)からすると夢の様な交通手段だが、本書中にあるような地域の細かな動静情報は得るべきもないし、革命後漢人の侵入拡大もあって、もう全く違ってしまっているだろう。