最初のアメリカ人

―北アメリカ考古学物語ー
著:C.W.ツェーラム
訳:寺田和夫、加藤泰健、松谷暁子
新潮社(1974.3) 
本書の記述対象は北米であり、また原著初版:1971年なので、1997年に南米チリのモンテベルデ遺跡での1万4000年前の人類定住の証拠発見の件は載っていない。

最初に“アメリカ発見”したのは「コロンブス」では無く、ヴァイキングであるが、文化・文明的な影響・・・という意味で、コロンブスによってやりとげられた(p44)
北米での立場は、過去も現在も異なっている。北米考古学者が取扱うのは全て先史であり、〈書かれた記録という証拠のある歴史〉は扱わない。(p129)
世界の古代文明に纏わる〈大発明〉として挙げられている下記の中、
・車
・てこ
・くさび
・ねじ
・金属精錬
・文字
・織物
アメリカ諸文化では、「織物」のみが相当し、しかも著者は「土器」「動植物の栽培家畜化」が無いことに不満を記している(p211-212)
即ち、ヨーロッパ考古学流ではない新大陸側での視点から、一味違った流儀の文化を持った人びとが暮らしていたことを解説する。

新大陸原産のトウモロコシの原種:テオシンテ(ト)の話も、オハイオ州のサーペントマウンドも漏らさず取り上げている。

カーディフの巨人The Cardiff Giant”と呼ばれ現在東海岸クーパーズタウンのファーマーズ博物館にある石灰像の経緯は、書き物にあることをそのまま信奉する教条主義を揶揄していて面白い。