航海の歴史

―探検・海戦・貿易の四千年史-
著:ブライアン・レイヴァリ
訳:千葉 喜久枝
創元社(大阪)(2015/01)
ISBN:9784422202372
人間が新天地を切り開こうとしたときに避けて通れないもの:海
それを渡ることを「航海」という。
著者なりに解釈を与えた本。
海洋学を拓いたマシュー・フォンテーン・モーリー、カリプソ号で有名なクストー、フォークランド紛争等の海洋関連の事柄にも触れている。
同一書籍内で出現する用語の統一がとれていない箇所がある。
p33:スルレリング
p34:スクレルリング
それは、アメリカ現地の民:イヌイットに対するヴァイキングの呼称(蔑称)である。
ヴァイキングに対しては、ジャレド・ダイアモンドの「文明崩壊」で、グリーンランドに入植した植民地がほぼ500年間生計を維持した後に崩壊したことを述べている。
彼らの伝説「サガ」の中で、更に西進南下した後の拠点ランス・オ・メドー(ルンズ・オウ・メドーズ)は、ヴィンランド(ニューファンドランド島)の拠点とされていた。
1960年代にそこから鉄器が発掘され、コロンブスの功績に先んじるものがあったことが確認された。
あまりに多数のイヌイットの存在を背景に感じて、それ以上の入植は断念したのだろうが、
このあたりの話も、原著2013年であれば書いておいて欲しかった。
他にも、同様の用語不統一が散見され、推敲不足(?)かと思われる。