死体が語る歴史

―古病理学が明かす世界-
著:フィリップ・シャルリエ
訳:吉田 春美
河出書房新社(2008/09発売)
ISBN:978-4-309-22491-6
考古学で発掘で出土した人骨や博物館に所蔵されている人骨をもとに、六種類の疾患を同定することができる。
加齢による疾患(関節症)、感染症、炎症、腫瘍(悪性および良性)、外傷、奇形の六つである。p200
本書は上記について著者が携わった実例を通して紹介している。
特に興味深かったのは、「ジャンヌ・ダルク」の遺物とされるものが容器内に保管されていることが、ポッと世に出てきたものに関する章。
彼女は、1431年5月30日にルーアンで異端として火あぶりの刑にされ、1920年に列聖された。
フランスが現在フランスとしてありえるのは、彼女のおかげとも言ってよいほどの偉人である。
当時は敵の、イギリス側に捕縛されたため、火刑は痕跡を留めないほど徹底的に実施された。
が、19世紀フランスのナショナリズムの台頭の中で「聖遺物」が"発見"された。
2006年に著者が、放射性炭素年代測定やさまざまな分光分析を実施した結果、偽物であることが判明した。(ウィキペディアにも当該事項の記述あり)
さて、その「ジャンヌ・ダルク」であるが、NHKラジオ「攻略!英語リスニング」でかつて取り上げられたことがあった。
最初、その発音はぜんぜん聞き取れなかった。
世に言われているカタカナ「ジャンヌ・ダルク」は、日本語化された名詞であったのだ。
英語では、Joan of Arcとのこと(ジョンノブアーと聞こえた)。
新しいことを知ることは、いつも、実に新鮮である。