紙の世界史

-歴史に突き動かされた技術-
著:マーク・カーランスキー
訳:川副智子
徳間書店(2016年11月24日)
ISBN:978-4-19-864296-9
筆者は、本書中で
「技術が社会を変えるのではなく、社会の方が社会の中で起こる変化に対応するために技術を発達させている」
と度々述べている。
その技術とは、紙、である。
世界史の中で「紙」がどのように必要とされ、応用発展したかについて、多くのエピソードを交えながら説き起こす。

紙コップ、トイレットペーパーは古代中国の発明品p61
フランス人初のローマ教皇となったシスウェステル二世の出自p129-130
吉備真備が手配した百万巻の「陀羅尼」の印刷手法p147
古今の焚書による文明記録の断絶p227

メディアに頼り、自分で考えることをしない方面に対し、
「そんなものは真の知恵ではない」。インターネットから拾ってきた話を得々と披露する人を見るたび、そう思うのではないか?p461
と著者は厳しく問いかける。