スペースインベーダーを創った男 西角友宏に聞く

聞き書き:フロラン・ゴルジュ
訳:ミズキ・ゴルジュ
徳間書店アンビット(2018/02)
ISBN:9784198645793
1970年代が暮れる頃、同僚と職場旅行先の喫茶店に入った。
同僚は、事前に両替した百円玉を袋に入れてジャラジャラさせて袋ヒモを片手に店に入っていく。
こちらは、なんでそんなことをするのか? 全く事前知識無く続く。

やや低めのテーブルには上向きに画面が取り付けられていた。それに陣取り、やおら中身の百円玉をテーブルの上に積み重ねた。
頂上から手に取り、コインをテーブル横下に入れる。「ブッ、ブッ、ピィッ、ピィッ」の効果音と共にゲーム画面が展開された。

それは。「スペースインベーダー」。
現金をあたかも(無料の)メダルのように注ぎ込む姿にビックリしたのを覚えている。

本書は、その不朽のゲームを開発した人物を訪問し、誕生からゲーム創造その後について著している。
本ゲームは、タイトーから出たが、開発者の存在は10周年記念新聞記事(1988年)まで知られていなかった。
八木アンテナ青色LEDフラッシュメモリ等に例を見る、日本と言う社会の、創造者に対する無理解の一例である。
現に、本書はフランス人によるもの。

本ゲームの効果音、特にミサイル発射音は気に障る音で、個人的には好みではないが、西角氏も同意見とは・・・(p122)

西角氏は、SONYの就職を目指し最終面接試験時に「会社の都合で子会社勤務を命ぜられたら、どうする?」と質問され、「困ります」と答えて、“不採用”になった。(p27)
あのSONYでさえ、当時から“社畜”志向だったことが伺える。

弊方も、学生就職面接時に、
・全く同じことを聞かれ
・全く同じように「困ります」と答え
・全く同じように“不採用”になった
その会社(SONYではない)に入っていたら・・・西角氏とは月とスッポンだが人生が違っていた・・・