遅刻した話

独身時代、神戸住吉独身寮から新大阪駅構内の職場に通勤していた。
ある日、目が覚めたら、周りが妙に明るい。
朝寝坊であった。
遅刻は社会人の恥と思い、目覚時計で毎日起床するようにしていたこの私が寝過ごすなんて・・・何たる失態!
としばし呆然としても、時間は過ぎ行く。
とりあえず、電車に飛び乗り、職場に向かう。
道中、真面目で評判の小生がこのざまではどうする・・・とか責められる姿が脳裏を去来する。
職場に入ると、既に点呼は終了し殆どもう出払って閑散とする中に、一人。
直属の上司、相田助役だ。
観念して、
「すみません。遅れました。」
と頭を下げる。
「そうか、来たか。」
と、それだけ、であった。
こういう時は、がみがみと言われない方が効く。
小言は頭を竦めて心を閉ざせば頭上を過ぎ去るが、許して頂いたときの方が心底から反省をするものだ、と実感。