世界文明における技術の千年史

―「生存の技術」との対話に向けて
原書名:TECHNOLOGY IN WORLD CIVILIZATION : A Thousand-Year History〈Pacey, Arnold〉
ISBN:9784794805225 (4794805225)
出版:2001-06-20
著:アーノルド・パーシー
監訳:林 武
訳:東 玲子
世界史(を始めとする歴史モノ)は、往々にして勃興・拡大・爛熟・衰退という関係の知識の羅列の暗記かとも思われている。
本書のような本を副読本とすれば、それが何故そうなったかのひとつの疑問解決の手段として利用することができる。
紀元前、ヒッタイトは、鉄を用いた武器を用いて周辺の民族を圧倒した。
それまで使用されていた青銅器製に比べて、鉄製の剣の方が圧倒的に強度が優れていたからだ。
日本では最初に鉄砲が「本格的に」使用されたのは、長篠の戦(1575年)。である。
しからば、世界的に見るとどうであったか。
1514年、サファヴィー朝ペルシアに対するトルコのイエニチェリ軍団の攻撃、だそうだ。(p130)
また、イギリスがインドを「征服」できたのは、イギリスがとくに優れた軍事力を持っていたからではない。という(p212)。 それは、銃器の標準化が為されてたか、為されていなかった、差によるもの、と著者は説く。
さらに、ロケット弾は、イギリスにはなかった武器で、後日インドから技術導入したほどらしい。
なるほど、教科書には単純に先進国の英国が印度を侵略した、と書いているが、どのような内因があり、どのように作用した結果、そうなったか、の理解を深めるためには、色々な角度から見る必要があるといえよう。
 
p247の、「1.08メートルの狭軌を採用・・・」
は、もちろん誤りで、正しくは、
1.067メートル。
である。