グリニッジ・タイム

副題-世界の時間の始点をめぐる物語-
著:デレク・ハウス
訳:橋爪 若子
東洋書林 (2007/10/10 出版)
ISBN:9784887217300
現在の世界標準時UTCの由来を説き明かす本。
イギリスのグリニッジ天文台が設立されたのは、航海の安全を期すための経度確定の必要性にかられての動きであった。
緯度は、正午の太陽の高度から容易に推定することができるが、経度は、どこを基準に北極から南極までの仮想線を設定するか・・・という先取りぶん取り合戦であった。
このような世界標準関連ではフランスが強い(メートル法)が、子午線競争ではイギリスの方が先んじた。
グリニッジで観測した「正確な」時刻を無線実用化されていない時代に広報する手段として「報時球」が考案された。それは、平均太陽時の午後1時に、柱のてっぺんに持ち上げた球を落とすことで、それが見られる周辺にその時刻を周知する、ものであった。
鉄道運行の必要性にかられて「標準時間帯:時計の短針のみの調節でOK」が考案され、その考え方が全世界に支持されたのは、国土が広大な米国発案だそうである。
いまでは、真夜中に1日が終わることは常識(常用日)であるが、かつては正午に1日が始まる「天文日」、正午に1日が終わる「航海日」が用いられていたそうだ。
 
p274〜275に誤記があると思う。
それゆえ、UTIとTAIの差は一秒の何分の一という端数まで勘定に入れるが、TAIとUTCの差は端数を含まない(一九九六年一月一日現在で三○秒)
これは、
それゆえ、UT1とTAIの差は一秒の何分の一という端数まで勘定に入れるが、TAIとUTCの差は端数を含まない(一九九六年一月一日現在で○、三秒)
であろう。
また、p50、2行目
グリニッジ標準時が用いられていた。
は、前後文脈と意味が通らず、不要と思う。
 
来年1月1日にうるう秒挿入が予定されている。
ある向きから通信機器への影響の有無を照会された。答え:全く無い
全世界一斉の1秒挿入なので、時間がスリップしたりして狂う余地は無いのだ。
例えば、2月29日の(通常なら4年に1回に挿入される)うるう日で、何かがおかしくなったりしますか?