ベッドルームで群論を

―数学的思考の愉しみ方-
著:ブライアン・ヘイズ
訳:冨永 星
みすず書房 (2010/09/10 出版)
ISBN: 9784622075486
著者は文系を自認しているらしいが、なんの、高校時代の単位という些少なできごとがなければ、理系の錚々たるPh.D.として名を馳せていただろうことは、本書でも垣間見える。
1章「ベッドルームで群論を」は、マットレス自体が身近でないので、いまいちピンとこなかった。
2章「資産としての無作為」は、PCで発生する”ランダム”の限界を再認識した。
6章「大陸を分ける」は、分水嶺を定義することの難しさについて、かつてのNHK黄河」のときと同じ感想に至った。
特に、最終章の「長く使える時計」が秀逸。
ストラスブールの天文時計に関する、ジャン=バティスト・ソシメ・シュウィルゲの貢献に関する新たな知識を与えて下さった。
人間が作ったもののなかで一万年以上壊れず残っているものの中の紹介で、日本の縄文式土器(少なくとも一万一千年までさかのぼることができる)p288、とあるが、些か面映い心地である。
 
さて、街角で「ある署名活動」が行われていたら、参加することを厭わないことが、ひとつ、あることをここに記したい。