アリメカ

昔、百科事典は、応接間にドーンとあたりを睥睨するように鎮座し、威圧する道具としての機能を備えていた。
覚えている限りで代表的だったのは、平凡社の世界大百科事典全26巻だった。
調べると、1964年〜1968年頃の出版らしい。
これに対抗しようと(したのかは知らないが)小学館から「大日本百科事典ジャポニカ」なる百科事典が刊行されるとその頃大々的に宣伝があり、母親が(子供の教育用?)購入を決めた。
これも調べると、1967年のことであった。
「あ」から始まる第一巻を嚆矢に、発刊される毎に本屋が自宅まで配達された。
最初は2ヶ月周期で来ていたが、やがてその間隔がどんどん広がり(刊行が遅れ)最後の頃はもうどうなったか覚えていないほどメロメロ状態にまで至った。
後日その理由を小学館の関係者の何かの記事で読んだが、時代的に編集・選定委員であった大学の先生方は学生運動の対応で忙殺され、机に向かう時間が取れなかったらしい。
ネタが上がらないと、印刷もできなかったことには同情する。
出版社側にしても、やっつけ仕事であった片鱗は伺える。
表題の「アリメカ」は、初版本の「アメリカ」の項目での誤植表記であった。
このおちゃめは、数年後に来た正誤表で訂正案内があったと覚えている。
 
上記は、記憶に基づく記載で、手元に現物が無いため、裏取り未了のままである。
内容自体が思い違いかも知れないので、その場合はご容赦願いたい。