荒物を売るバッタ屋

物心ついた頃、母親に背負われて外出した時の思い出。
道端で、荒物を売るバッタ屋があり、ヒトが群がっていた。
プラスチックのボウルを手に、これは便利だ・・・と売り手のおにーちゃんは力説していた。
その頃のプラ製品の耐熱性が良くないことは、買い手の方も知っていたようで、
熱湯じゃだめじゃろう・・・
という声が上がった。
するとそのおにーちゃんは、ボウルの底にあるくぼみを示して、
「熱はこのヘソから逃げるから大丈夫」
と言った。
背負われるほど小さい頃であったが、・・・それはありえない・・・
と思ったことが記憶にある。
(かなり)後日、そのヘソは、射出成形孔であることを知った。