スパイス戦争

著:ジャイルズ・ミルトン
訳:松浦 伶
ちくま学芸文庫(2022/04)
ISBN:9784480511133
日本の戦国時代、東南アジアのバンダ諸島特にルン島特産の香辛料ナツメグに対してオランダとイギリスが凄惨な争いを繰り広げた。
本書は、その争いの最中にイギリス東インド会社ナサニエル・コートホープが、1609年に東インド会社に採用されて、バンダ諸島のルン島に趣き、1616年に現地住民と譲渡契約を取り交わした後の戦いでオランダの掌中に落ちるが、ブレダ条約でアメリカ・マンハッタン島と交換された・・・という経緯が、スパイスの取り合いを契機に為されたことを物語る本。

1494年にスペインとポルトガル間で取り交わした「トルデシリャス条約」だが、時の法王アレクサンデル6世が定めた“ヴェルデ岬諸島の西数百リーグ”の線、についてはポルトガルがこっそり西に数百マイル動かし(p43)
た。とあるが、これは、
線をさらに西に移動し、ポルトガルカーボベルデ諸島の西370リーグの子午線とし(ウィキペディア)
の記載とは異なる。

そもそも、正確な子午線の位置決定ができないその頃、しかも海上での線引きを試みるという無謀な取り決めであった、と思う。