科学は「ツキ」を証明できるか

―「ホットハンド」をめぐる大論争-
著:ベン・コーエン
訳:丸山 将也
白揚社(2022/06)
ISBN:9784826902380
ホットハンド=「ツキが続く」絶好調の状態
先駆の研究者ダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキーは、“認知バイアス”だとして、そのような効果は無い・・・として退けた。
退けた理由として、バスケットボールの連続シュート映像分析が用いられ、その結果、その存在が否定されていた。

本書は、その後、より精密な動作分析が可能となった結果、“定説”は覆ったことを示す。
既存の科学の定説を覆すことは大変なことで、提唱者の論文は当初門前払いをくらったほどである。

研究者アンドレアス・ビルケは、p108で
・ホットハンドは人間の脳の欠陥ではなく、機能だと考えた。
・ホットハンドは認知の誤りではなく、認知の適応である
と唱えた。

結果的に、当初の分析内容は粗かったことになったが、現象分析・仮説・検証を積み重ねる「科学」の王道が正しいという証明になった・・・思う。