手垢の付いた襟サンプル

昔、小学校のバザーで期限切れのオーダーワイシャツ仕立券を格安で購入できたことがある。
例え期限切れでも、当該生地に限れば、問題なく調製して頂けるので、お買い得なのだ。

で、勇躍、シャツの仕立券発行元の銀座のデパートに出向いた。
流石、オーダーだけあって、襟のスタイルが種々選べるようになっていた。
が、問題は、そのエリ見本。
長年、使用されているのが一目で分かるほど、隅が茶色になるまでサンプル台紙に手垢が付いていた。

これは・・・普段からお客様に対して
収納から取り出して、閲覧・選択させて、又仕舞う。
次のお客様に対しても・・・
収納から取り出して、閲覧・選択させて、又仕舞う。

その繰り返しをしているうちに、その見本自体、店員には見慣れたモノに成り下がってしまったということ。
それが外部一般的な視点では、どういう状態であるかの判断がつかなくなってしまっている状態を示していた。
またそれらは、一般店員しか扱わないので、管理者の目が届いていないことも明らかであるように思えた。

あまりに見かねて、当該デパートを辞去した後、電話を掛けて概略を伝えて手垢見本は何とかしたら良いのではないかと提案した。

すると後日、売り場担当者が、(当時務めていた)職場に迄いらっしゃて頂き、「サンプルを新調しました」旨報告の挨拶を受けたことを覚えている。