インバンドリンガ

さて、今日は、約四半世紀ほど前に突然流行った装置のことを記す。
電電公社に対抗してその頃発足した新電電各社は、専用線から営業を開始した。
高速ディジタル専用線はお高いので、アナログ専用線商戦から火蓋が切られた。
そのときに必須となっていたのが、インバンドリンガ(In-Band Ringer)。
http://pc.nikkeibp.co.jp/word/page/10006550/
では、
「アナログ専用線用の電話接続装置の総称。
 アナログ電話設備を3.4kHzの帯域品目で接続する場合に利用する。
 回線接続の音声レベルを保証するとともに,呼び出し信号(リンガー信号)をアナログ専用線で伝送できる周波数帯域内に変換する。」
とある。
上記説明で、お分かりだろうか?
小生の理解で、より正確に記述すると・・・
「アナログ専用線を利用者の宅内電話接続装置と接続するときに必要な装置。
 アナログ専用線は、300Hz〜3400Hzの帯域のみの伝送機能しか持たないため、制御信号を伝送帯域内に重畳し、呼出・終話信号として利用する。
 これにより、遠距離間のアナログ専用線を内線電話回線として使用することが可能となる。」
であろうか。
「インバンドリンガ」は、上記のようにインバンド(音声帯域内)のリンガ(リング信号取扱機能)であり、まとめれば「伝送帯域内・信号制御装置」のことである。
普通、「イン」があれば「アウト」がある。そうである。
「アウトバンドリンガ」の方が(知られていないが)普通に使用されていた。
アナログ電話交換網の信号制御用として・・・
何故「アウト」であるかというと、それは、3,850Hzで帯域外であったからそう呼ばれた。
中継伝送路は、高域を4kHzまで伝送可能な仕様としてネットワーク化されていたのである。
 
にわか仕立ての専用線営業部隊は、おまじないのように「インバンドリンガ、インバンドリンガ」と言いながら見積もり提案書を作成していたが、どういうメカニズムで必要なのかの説明は、無かったように覚えている。
ある晩、飲み会で、大関さんと松井さんに上記のことを割り箸袋を広げて図解して差し上げたら、「何故それが必要なのか、今初めて理解した。」と大変感謝された。
松井さんとは、その後数年を経て再会したが、その割り箸袋を大事に持っていると、折り畳まれたそれを見せられ、少々感激したことがある。