にわかには信じられない遺伝子の不思議な物語

著:サム・キ−ン
訳:大田直子
朝日新聞出版
2013/10出版
ISBN:9784023312388
長い題名の本であるが、読み進めていくうちにその内容を正しく表していると思えるようになった。
原題は、ヴァイオリニストの親指−我々のDNAに著された驚くべき真実の物語-
Violinist's Thumb : And Other Extraordinary True Stories as Written by Our DNA
とこれまた結構長い副題が付けられている。
「ヴァイオリニスト」とは、超絶技巧のパガニーニ。彼はある種の遺伝子疾患を患っていたのではないかと著者は記す。
他にも有名な人物、ハプスブルグ家またロートレックも家系的に導かれた遺伝子に纏わる肉体を保持していたことを解明する。
タンパク質とDNAのメカニズム説明の部分では、一読のみでは理解できず、YouTubeの関連解説ものを見てセントラルドグマのなんたるかを掴むことができた。
染色体内のDNAのゲノム配列は既に”解析”されたが、それは、標本対象の人物のゲノムを単にテキスト形式に展開しただけで、人間の体内のことが「解明」されたわけではない。
遺伝というと「氏」にあたるわけだが、書中「育ち」もかなりの影響力をもつことが説明される。
遺伝子といえば、DNA。DNAといえば、二重らせん。ということは広く知れ渡っているが、そこに至るまでに先人が如何に試行錯誤したかを知り、また現在、そして未来に繋がる子供達になにを残すべきかをか知るために好適。