東と西の宇宙観 西洋篇

著:荒川 紘
紀伊國屋書店(2005/10)
ISBN:9784314009959

古代メソポタミア神話から西洋の宇宙観の変遷が説明される。
筆者は中身を咀嚼できているのであろう、非常に内容は多岐にわたるが分かりやすい。

姉妹編では東洋編があるが、東洋では宇宙の創成・構造を論ずることに意義を認めず、後世の科学的見地からは見放されている。

西洋:晴れた夜空を見る機会が多い
東洋:晴れた夜空を見る機会が少ない
という地理的な要因があったのではないかと、(本書には無いが)個人的には思う。

根強い人気がある“占星術”だが、キリスト教の古来の人間の意志論からしたら、
神の被造物である天体に(人間が)左右されることは無い・・・とアウグスティヌスが退けていた。(p159)ということは、興味深い。

しかし乍ら人心には迷いが付き物であることからか、スコラ哲学者:トマス・アクィナスが、一種「アウフヘーベン」した形で折り合いをつけた結果の流れが、現代の占星術に繋がっている・・・ということらしい。(p223)