5万年前

副題-このとき人類の壮大な旅が始まった-
著:ニコラス・ウェイド
監修:安田 喜憲
訳:沼尻 由起子
イースト・プレス (2007/09/21 出版)
ISBN:9784872578287
現在の人類の祖先は、アフリカとアラビア半島南端のバベルマンデブ海峡を約150人程度の集団で、1回だけ渡り、彼らの子孫が全世界に広がった。
という内容は、既に2007.11/03に、「人類の足跡10万年全史」と、2008.11/1の「アダムの旅」で述べられている。
ほとんど、復習のような本ではあるが、興味深いところがあった。

p114の、人間に寄生するヒトシラミの進化の話である。
シラミは、人間に特化した進化をしたことで知られる。
現生人類にとりつく以前に出アフリカを果たしたホモ・エレクトゥスを既に宿主としていたことがシラミのDNA系統樹分析から明らかになった、というのだ。
p174で、人類が栽培を始めた野生の穀類の一種として、アインコルン、エンマーコムギ、大麦が挙げられている。
「アインコルン」とは見慣れない表記、と思い調べたら、一粒種の原種小麦であることが分かった。
おそらく、原書中では"eincorn"の音引きで、「アインコルン」と表記したと思うが、些か安易な"訳"、と思う。
訳書中では、「原種コムギ」くらいの表現の方が分かり易かったのではないか。