スミソニアンは何を展示してきたか

編:A.ヘンダーソン, A.L.ケプラー
訳:松本 栄寿 小浜 清子
玉川大学出版部 (2003/05/25 出版)
ISBN: 9784472402951
米国ワシントンDC。にあるスミソニアン博物館のスタッフがスミソニアン協会創立150周年記念として出版した本。
各展示物の展示初期の意味合いと、その後の意味合い、の変遷が興味深い。
かつて、そこを訪れたことがあるが、入場無料、であることに感心。
米国人が、昔のものを実に大切に保存していることに驚いた思い出がある。
現在、1903年ライト兄弟のライト・フライヤー機は、世界初の動力飛行機として「マイルストンギャラリー」に展示されている。
実は、その昔はそうではなかった。
そのスミソニアンのかつての長官であったサミュエル・ラングレーは、彼の影響を駆使して「エアロドーム機」が最初の飛行機であると主張した。
ライト兄弟機の1903年12月7日のキティホークでの飛行は、当時は認められず、兄弟はその機体を英国ロンドンの科学博物館に送った。
やがて世論は、ライト兄弟機の方が本筋であることを認め、1948年12月17日からオリジナル機が、今の位置に納まった。
なにより、本家本元のスミソニアン博物館内の人物が著していることが、公平でよい。
 
現代、当時の機体の正確なレプリカを製作することが可能になった。
日本でも、再現が試みられたと記憶にある。
あくまでも記憶なのだが、そのレプリカ機での実際の飛行は、何らかの理由(実は、飛べない・・・)で断念されたそうである。
イリアム・トムソン(ケルビン卿)は、ライト兄弟が空を飛ぶ数年前に、「空気より重い機械が空を飛べるわけがない」と言っていた。