かくして冥王星は降格された

―太陽系第9番惑星をめぐる大論争のすべて
著:ニール・ドグラース・タイソン
訳:吉田 三知世
早川書房 (2009/08/25 5千出版)
ISBN:9784152090645
本書は、アメリカ自然史博物館ヘイデン・プラネタリウムの責任者が2009年に著した本。
冥王星は、米国人によって発見され、またその名称"プルート"は、例のデゼニランドのキャラクタと被ったため、かの国では"惑星"として愛着があったらしい。
2000年に開館したヘイデン・プラネタリウム内では、当初から冥王星は「惑星」としての展示はされなかった。
事前に検討した結果、従前の(単純暗記に繋がる)惑星並び順の紹介は避けられ、太陽系惑星の性質によって分類され、そのような扱いにすることにしたのだ。
約一年後にマスコミによって大々的に取り上げられ、侃々諤諤の議論が引き起こされた。
そのさなかにの2003年、マイク・ブラウンが冥王星より大きいエリスを発見し、IAUでは2006年多数決で冥王星を惑星の位置から排除した。

科学の世界で(民主主義のように)多数決投票でことが決する事例は珍しい。
科学は民主主義ではない。よく(ガリレオが言ったこととして)引用されるように、千人が述べた権威的言説は、ひとりの個人の謙虚な論理的思考に値しないからだ。(p195)

本書では、「冥王星を殺したのは私です」のマイク・ブラウンには軽く触れている。
それぞれの立場で、それぞれの言説があるようだ。