「みんなの意見」は案外正しい

著:ジェームズ・スロウィッキー
訳:小高 尚子
角川書店(2009/11発売)
ISBN:9784040800110
ウェブの内容説明
グーグルが何十億というウェブページから、探しているページをピンポイントで発見できるのも、正確な選挙結果の予測ができるのも、株式市場が機能するのも、すべて「みんなの意見」つまり「集団の知恵」のたまものである。多様な集団が到達する結論は、一人の専門家の意見よりもつねに優るという説を提示し、ウェブ時代の新しいパラダイムを予見。
 
ごく最近、本書の好例と思われる国民投票が某国で行われた。
集合となった人々は、その道の専門家よりも正しい選択を行うのか・・・
自分が投じる一票が選挙の結果を変える可能性は限りなくゼロに近い。(中略)大きな違いがないならなぜ投票するのだろうか。(p319)
仮に有権者の投票が「自己表現」の一種だとすると、自分の利益になるような選挙結果を求めて投票するより、自分の政治的なスタンスを公にするために投票したほうが、社会全体ににとってメリットになる結果に結びつく可能性は高いと言えよう。(p320)
「みんなの意見」は、刹那的な要素を持つが、それがもたらす結果については、デメリットを感じたら、修正すればよい。それが民主主義だ。
チャーチルは、「民主主義は最悪の政体である。これまで試されてきた過去のあらゆる政体を別にすれば」と言った(p328)