徳の起源

―他人をおもいやる遺伝子-
著:マット・リドレー
訳:古川 奈々子、監修:岸 由二
翔泳社 (2000/06/14 出版)
ISBN: 9784881358771
著者は、p259で、
人々は個人の利益よりも集団の利益を優先させていると主張するが、それは都合のいいときだけ集団と行動を共にするという事実をあからさまにしないほうが有利であるからなのだ。(中略)われわれは自己を集団のために犠牲にするようにデザインされているのではなく、自分たちにのために集団を利用するようにデザインされているいるのである。
と説く。
また、所有権が明確なものは資源が保護されるが、不明確なものは絶滅に至るまで乱獲される、ある。
即ち、名前が書いている牛は取れない(取ると他人の権利を犯すことになる)が、書いてないマンモスは(自分が取らないと誰かが取り、自分が不利になるから)取る・・・そして絶滅させた、ということと説く。
自然環境という資源を保護するためには、それが個人の利益になることを理解する必要があることらしい。なるほど、ハタハタ禁漁に参加した方々の実例に思い至った。
p169で、
コロンブスがはじめてアメリカ大陸に上陸したとき、彼は何十万年も前にヨーロッパ人と祖先と文化的接触を絶った人々と出会った。
とあるが、
2007.11/3のオッペンハイマー著「人類の足跡10万年全史」拠れば、約8万5千年前に出アフリカをして以来、と記した方が正確であろう。