生物と無生物のあいだ

著:福岡 伸一
講談社現代新書(2007/05)
ISBN:9784061498914
著者は、昨今話題のポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査を着想してノーベル賞を獲得したキャリー・マリスの「マリス博士の奇想天外な人生」を訳している。
当該書発行当時:2000年頃は、PCR検査?エッ何それ?という人が大多数だったであろう。
それが今や一日に何回「PCR」という言葉が飛び交っているのか・・・
本書とて、2007年発行なので、コロナの“コ”の字も出てこない。
著者が各所で書いている「ロックフェラー大学」でのポスドクの頃の思い出に絡めて、(今なら書ける)野口英世の評価とか、DNAの発表に伴う闇とか、キャリー・マリスがPCRを思いついた話とか、科学的研究に対する考え方とか、中身は濃い。

生命とは何か?
・自己複製を行うシステムである(p4)
・現に存在する秩序がその秩序自身を維持していく能力と秩序ある現象を新たに生み出す能力(p148)
代謝の持続的変化であり、この変化こそが生命の真の姿(p164)
動的平衡にある流れ(p167)
というように種々の表現がされている。