エデュケーション

─大学は私の人生を変えた-
著:タラ・ウェストーバー
訳:村井 理子
ハヤカワ文庫(2020/11)
ISBN:9784152099464

天才と〇〇は紙一重・・・といわれるが、その格言を思い出した。
同調圧力が強い日本では、ここまで極端な生き方は許されないと思われる。

父は、後に、双極性障害を持っていると著者は知るが、幼少期はそんなことは解からない。
両親の価値観が世界の全てと刷り込まれてしまうと、それからの脱却は大変難しい。
著者は文字通り「教育」で、普遍的な価値観を習得することができ、その内容を著すことでカウンセリング的に過去に受けた虐待を詳らかにした。
いわゆる“普通”という尺度の許容範囲の外縁付近は、「個人」において「個性」の範囲内で個別に定まっており、各々の尺度で本の登場人物の個性を理解することができる点に於いて、ベストセラーの要素があったと思う。

本書が上梓された後、著者の母親が逆の立場からの見解を記した本を出した(p619)のは、大変面白い。これも米国ならではのメンタルを象徴している。