菊と刀

−日本文化の型-
著:ルース・ベネディクト
訳:越智 敏之/越智 道雄
平凡社ライブラリー
ISBN:9784582767933
有名な本。
いままで多くの翻訳がなされてきたが、それらを踏まえての注釈が本書にある。
全編を通して、初めて読んだ。
著者は、日本の土を踏むことなく、1946年に出版している。
太平洋を隔てかつ現在のような情報伝達手段もない状態での日本人論なので、細部において勘違い等は見受けられる。
しかし、我々が常日頃意識しないような習慣習俗を外部から見ることの新鮮さは、いまでも失われていない。
身近な社会生活の基盤構造を正しく活写していて、色褪せることがない。
著者氏名の語感及び著書内容から、一見男性であるかの印象を受けるが、ご存知のように女性である。
ここまでの本が書けるほど資料を収集していた米国には畏敬を感じる。
また、当時まだガラスシーリングが厚かったことが評伝から伺える。
太平洋戦争敗戦後の体制について、我々自身が見返して、今後100年の大系を定めることが必要であることを思い起こさせてくれた。
キーワード
「其ノ所」「義理」「人情」「汚名」「面子」「修養」「御宸襟」「エスノセントリズム