現代天文学史

―天体物理学の源流と開拓者たち-
著:小暮 智一
京都大学学術出版会(2015/12発売)
ISBN:9784876988822
太陽スペクトルをプリズムで分光したときに現れる暗線を発見したフラウンホーファーから「現代天文学」は始まった。
それまでの古典天文学は、天動説から地動説への道筋はでき上がっていたが、静的な宇宙感で、恒星の分類・分析には手が届くはずもないと考えられていた。
以来、先人達の成果を基に、宇宙についての理解を一歩一歩進めた数多くの伝記概論集。
日本に居ながら、ここまでの内容が書けていることに、少々驚きを感じた。
「あとがき」に、NASAのデータベースADSが基底にあったことを述べているが、それにしても、今に至る天文学発展の概要を把握するに絶好の一冊と思う。
日本人の天文学者にも触れられていて、岡山県竹林寺天文台の建設経緯を知ることができた。
系外星雲を銀河(galaxies)と呼ぼうと提案したのはシャプレーであったが、ハッブルは銀河系外星雲という呼び名にこだわっていた。「銀河」が定着するのはハッブル没後である。(p426)
は、面白い。
一点、気になったのは、人名「ウィリャム」表記。ここは、よく使用される「ウィリアム」で良かったのではないか。