異端の数ゼロ

―数学・物理学が恐れるもっとも危険な概念-
著:チャールズ・サイフェ
訳:林 大
早川書房 (2003/10/31出版)
ISBN:9784150503499
古代ギリシアの哲学者アリストテレスは、人間の身近に見られる現象から、世の中の仕組みを説明した。
我々の日常生活上では、地球が世界の中心であり、太陽・月その他の星々は人間にかしずいて巡っている・・・ように見える。
そのような世界観に基づいて構築された哲学は、キリスト教会に引き継がれた。
その頃の概念では、数字にゼロはなく、西暦紀元は「1年」から始まった。
しかし、東方のイスラム世界で「ゼロ」の概念が発明され、その観念は科学の展開と共に否応無く使用されるようになった。
現在では、数直線の説明は小学校でプラス領域からゼロを通過しマイナス領域まで、極普通に一本の線上に記載される。
本書は、人間が世界の成り立ちとして宇宙を理解し説明するようになった歴史を紐解く。
毎日は、過去の記憶から連綿として存在している。明日もまたそうであるだろう。
それをどのように説明するかの一つの手段が宗教である。いったんそれが確立すると主従逆転して目的化してしまう。
その結果は、他の宗教のみならず、同じ宗教下の他の宗派をも攻撃するようになってしまう。
一族郎党の範囲が狭いレベルでは、宗教は団結に資するところがあっただろうが、地球上の他に天国も地獄も須弥山もないことは、既に明白となっている。どのような宗教でもあの世が云々と言うが、そのあの世はない。ただ故人をしのぶよすが、としての意味づけでしかない。
それ、をうまく利用して金儲けをしている輩と、ただ搾取されている人々がいるだけである。