宇宙は自ら進化した

ダーウィンから量子重力理論へ-
著:リー・スモーリン
訳:野本 陽代
NHK出版(2000/09発売)
ISBN:978-4-14-080548-0
ウェブの内容説明
究極の統一理論が見えてきた!素粒子から銀河までを、生物学と哲学の視点を借りて描き出した画期的な宇宙論。宇宙のすべてを説明できる理論は、生物の進化の理論と共通点があるのではないか。
 
エントロピは必ず増大し、最終的には世の中は平衡状態になる・・・という原理がある。
然らば、この生命は生きている限り見かけ的には不平衡状態を保つ・・・ということはエントロピは増加しない。
何故か・・・エネルギが供給されているからだ。
何処から?・・・太陽から
地球上の生物は、すべて、太陽の核融合エネルギの恩恵を蒙っている。
素粒子の振る舞いが解明され、それらの持つ各種パラメタが得られた。
強い力、弱い力、電磁気力、重力・・・それらの数字は、実に精妙な値で、少々ずれると宇宙は「今の」宇宙ではなくなるほどだ・・・という。
プランク長・時間から宇宙の果てまで、そのスケールは10の60乗になる(p68)
確率的にはほとんど有り得ない世界がこの宇宙だ。
どうして?答えは「人間原理」であった。本書はそれに疑問を投げかける。
パラメタを設定する客観的な存在としての絶対的な存在が有り得るのか?
著者は、無生物の進化という概念を提唱する。
その説く所以はなかなか難しい。
理論が結構難解だが、訳文の係り結びが整理されていない箇所も、見受けられた。
統一理論を作ろうというひも理論やほかの試みから美しい結果が得られているにもかかわらず、これまでのところ、自然の法則が数学的に無矛盾である、あるいは相対論や量子論と矛盾しないという条件が、素粒子の質量あるいは異なる力の強さを著しく制限する、という推論を支持する証拠が得られていない。(p123)