偉大なる失敗

―天才科学者たちはどう間違えたか-
著:マリオ・リヴィオ
訳:千葉敏生
早川書房(2015/03発売)
ISBN:9784150504878
チャールズ・ダーウィン、ウィリアム・トムソン(ケルヴィン卿)、ライナス・ポーリングフレッド・ホイルアルベルト・アインシュタインという有名な科学者を「失敗」という観点から切り込んだ本。
科学の領域が広がれば広がるほど、未知の領域が増えることは自明の理なのだが、当事者にとっては、その時々の世相・環境・感情により、後世から見れば「失敗」と判断されることがままある。
ダーウィンは、遺伝学が確立する前だったので、進化の説明に多言を要した。
ケルヴィン卿は、核融合が発見される前だったので、恒星の寿命を見誤った。
ポーリングは、感情に走り、2重らせんでなく3重らせんを提唱した。
ホイルは、ビッグバンの名付け親だが、本人はその理論を否定した。
アインシュタインは、宇宙定数を提唱したが後に否定した。
だが、宇宙定数の如何によって「宇宙」の在り方が変化することが示唆されて以来、現在の宇宙は「ユニ・ヴァース」ではなく「マルチ・ヴァース」のひとつかもしれない・・・と言われている。p336
ホイルは、元素が恒星中で生成されることを見事に説明したが、(ノーベル賞受賞者について批判したために)ノーベル賞は受賞しなかった。p241