進化論の進化史

アリストテレスからDNAまで
著:ジョン・グリビン&メアリー・グリビン
訳:水谷 淳
早川書房(2022/06)
ISBN:9784152101419
問1.何故世の中は、このようになっているのか?
問2.何故生き物は、このように最適化されているのか?

宗教的解答
解答1.神が作り給いし物であり、宗教者中心の固定的世界である
解答2.万物の創造主が下等なものから最上等の人間まで固定的に決めたものである

科学的解答
解答1.ビッグバンにより発生した多元宇宙のひとつの時空が、たまたま存在したもの
解答2.地球上の生命が、長年月により自然選択を受け、徐々に進化した結果がそう見える
本書は、科学的観点から進化の歴史を概観し紹介している。

ダーウィンの「種の起源」は、1859年に出版された。
実は、19世紀末までにダーウィンの「それ」よりも多く売れた“進化”に関する書籍があった。
それは、1844年のロバート・チェンバースの「創造の自然史の痕跡」

ダーウィンは1842年には、「進化」の考え方を記している。(p163)
しかし、チェンバース本が猛批判を受けたことから、公開を見送った。

そこに1856年、東南アジアにいたアルフレッド・ウォレスから「進化論」の手紙が届く。
先取権確保のためダーウィンは行動した・・・

そのあたりの二者の行動が、豊富な資料から示される。

それ以降、現在に至るまでの知見も最新の知見に基づき簡潔に述べられている。

バリ島とロンボク島間に存在する「ウォレス線」について、
p184:その後の研究でその正確な位置は修正されている。
とあるが、
その後の研究で、境界線を跨ぐ島々は拡大定義されている。
の方が良いのではないか。