ヨーロッパの印象

1974年夏、ダイヤモンド・ビッグ社が主催した「ダイヤモンドスチューデントツァー」の「ヨーロッパ自由滞在コース」に参加したことは、弊ブログの初年度の2005年に記し、旅行日記も公開している。
当該旅行終了後、感想文募集があり、応募したら掲載され小冊子が送られてきた。
実家の奥底に埋もれていたものを2007年偶然発見し、こちらに携えてきたが、その後又忘れていた。
最近資料整理していたら、ひょっこり出てきた。

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ダイヤモンド・ビッグ社スチューデント友の会発行の「985人の海外探訪記」
折角なので、ここに文章を公開する。
ここから・・・
表題:ヨーロッパの印象
日本車が多いのでびっくり。
オランダでもよく見た。ブラッセルは小さな落ち着いた町であった。
「イギリス」入国審査で一斉におしかけると混乱するので一人ずつ検査台まで係員が誘導していたのを見て、紳士の国と感じた。
地下鉄のエスカレーターも右側に立っているし、車内でも長いすにひじかけがついていて、むりやりに座れないように配慮されているのを見ても、他人に迷惑をかけないという考え方がうかがわれた。
「フランス」ロンドンもパリも牧場と畑と林の果てにあった。パリはゴミゴミしていて観光客ばかりで正直いって失望した。
それよりも田舎でワインを飲み、エスカルゴを食べた方が印象に残っている。あの町はよかったなあ。(注:DIJON)
ーーー誰一人として知るもののいないフランスの田舎町をうつむいて、涙が雨かわからないものが顔を濡らし『孤独だ、孤独だ』と呟き乍ら、2時間歩いたーーー
「ドイツ」只乗り天国、市電、地下鉄ともに改札口には誰もいない。旅行者でまともに金を払っているいるのはあまり見なかったが、罰金は20マルク これから行かれる人はゆめゆめなさらぬように。
「スイス」マッターホーンが見える町、ツェルマットではTAXIは馬車、普通の車は乗り入れ禁止とのこと。さすが観光国 駅で銃を持って軍服を着た若い男が恋人と別れを惜しむ光景を見た。さすがに国を守る意識は、日本以上に現実的である。スイスだけではなくて、ヨーロッパ国の中の州を旅したという感じであった。蛇足ではあるがつけ加えると、日本では絶対見られない国境線を一度ぐらいは見てやろうと思い列車の中から目をこらしたが、遂にわからなかった。
「イタリア」この国については、あまり良ろしくない噂をさんざん聞いていたが、入ってみると、そうでもなかった。しかしあの暑さには参った。それに落書、貼紙の多いことには閉口。だがさすがにダ・ビンチを生んだ国だけのことはあって装飾品のデザインは抜群であったと思う。
 今、こうして日本に帰ってきて、自分の考え方が以前に比べて少し違ってきたのに気づいている。新聞の投書欄を読んでも、日本独自の考え方というのが感じられて、もっと広い視野で論じればいいのにと思うことが少なくない。若いうちに海外から日本を見ることは一度は必要であろう。
ここまで・・・
それから幾星霜、一緒に旅をした方々ももう2,3年前に引退されていることだろう。
東京後楽園で一緒に旅館に前泊した、伊藤さんとか野中さんはお元気でいらっしゃるか。
特に伊藤さんには、1975年に御茶ノ水駅ホームで偶然お会いしたことがあった。
名刺を下さり、連絡をしてください・・・とおっしゃって下さったが、なんとなく気後れしてそのままになってしまている。