生物の中の悪魔

-「情報」で生命の謎を解く-
著:ポール・デイヴィス
訳:水谷淳
SBクリエイティブ(2019.9)
ISBN:978-4-8156-0159-1
マクスウェルの悪魔」という概念は、ミクロ領域で分子を一つ一つ対象にして運動を制御することができたら・・・という仮想の概念である。
それをマクロ領域(:人間の意志で自由に動作させること)から操縦することが可能になれば、
・常温水は、熱水と冷水に分けることができる
・空気は、窒素と酸素とその他の気体と分離することができる
・工夫することで“永久機関”ができる
もちろん、「熱力学の第二法則」即ち「エントロピー増大の法則」で、上記の事象は現実世界では不可能。
と思っていたら、微小世界の「情報エンジン」を想定すると、考えられるという(p67)
ミクロの世界の物理学というと、量子力学だが、「トンネル効果」「もつれ効果」等、アインシュタインが「不気味」と形容した(p191)理論である。これは、現代産業では、トンネルダイオード等にて実用化されている。
著者は、生命体の細胞内の作用についても、同様の働きが為されているのではないか、それが解明されたら分子生物学が根本的に一変するのではないか、と提議する。

「匂いのメカニズム」ついて、量子力学との関連を提唱したルカ・トゥリンの存在にも漏れなく触れている(p211)