―神経科学が解き明かした意識の謎-
著:アニル・セス
訳:岸本 寛史
青土社(2022/05発売)
ISBN:9784791774661
意識とは何か? 意識のある生き物にとって、その生き物であるを感じられるないかがある。p19
それはコンピュータが如何に精巧になっても成し遂げられるものでは無いと著者は述べる。
定義として「あらゆる種類の主観的経験」とする(p22)は、拙速であるとも言う。
意識が無い状態:麻酔状態と睡眠状態との差異についても、違いを指摘する。
最近読んだ週刊文春の「夜更けのなわとび」で人間ドックに入った林真理子氏は、本人が麻酔に全然罹らないことを付添人に訴えたら、「もう(全身麻酔を含む)全部の診察は完了していますよ」・・・と言われた、と記していた。
すなわち「意識」というのは、脳が紡ぎ出した幻想であると理解した。
「脳」それ自体は、感覚器官:目も耳も無く、ひたすら体内から送られてくる各種神経系統情報をひたすら分析・判定し、行動神経系統を制御するだけの存在で、その主体を「意識」と呼ぶ・・・。
注意すべきは、
私たちはいつも同じ体が昔からそこにあるという感覚を経験している。p89
ために、
自己は知覚の束ではなく、不変の実体であるという謝った直感を助長してしまうことである。p190
私たちは、自分を知るために自分を知覚するのではなく、自分を制御するために自分を知覚するのである。p190