通電勤務

以前ひょんなことからさる電機メーカ工場で働いたことがある。
あるシステムを某社に納めるにあたり、工場の現場で日々組み立てられていくそのシステムを横目に見ながら、各コンポーネントを総合した動作仕様をまとめ、その納入仕様書を作るのが仕事だった。
最終工程に入り、そのモノが仕様に従いちゃんと働くのをみて、なんともいえない達成感がわきあがるのを覚えた。
男は子供は作れないが、子供の代わりに産み出せるものがあるじゃあないか。と実感した瞬間であった。
世の中、手っ取り早く金を手に入れるためには、口銭稼ぎの商売が一番割がいい。
しかし、それは何物をも残さないのである。
資源を持たない日本が原材料を輸入して、最終製品に仕立てて世界中に販売して生計を立ててきたことに対して、数多くの無名の人々が色んな方面で携わってきたことだろう。
何も無い状態から、構想を立て、デザインし、組み立てて、実在のモノとして世に送り出す、さらにそれに寄与することができることの素晴らしさ。
そのような創造すること喜びの一端に触れることができた、得がたい一時期であった。