- 地球生命圏の進化
著:J・ラヴロック
訳:星川 淳
ISBN4-87502-158-5
1989.10
地球全体を「生命圏」として捉えた先見性ある本。
但し、p142に、
今日にいたる持続的な堆積岩の存在から判断して、液相の水はつねに存在し、地球はいまだかつて一度も全面的に凍結したことがない。
と断言している。
これ(原著)が上梓されたのは、1988年であるので、当時はかつて全地球凍結が「あった」知見はなかったようだ。
米火星探査機「フェニックス」が表土を採取し分析が進めば、(映画:トータル・リコールのように)火星に人が住める方法が明らかになるかもしれない。
また、p281に、
よく、簡便軽量の核融合炉が発明されるという悪夢にうなされるくらいだ。それは電話帳ぐらいの大きさの小さな箱で、表面に家庭用電気ソケットが四つついている。その箱は取り入れた空気中の水分から水素を抽出し、それを燃料に最大百キロワットの出力が可能なミニ核融合を起こす。それは安く、信頼性があり、日本製で、世界のどこでも手に入る。完璧、クリーン、安全と三拍子そろったエネルギー源で、核廃棄物も放射能もまったく出さず、危険な故障もけっして起こらない。
という、昨今大阪方面で話題の新エネルギーに言及しているところもあり、面白い。
著者は、その可能性について、
アクトン卿の有名な警句
「権力は腐敗する。絶対権力は絶対に腐敗する。」
を引用し、現実を直視することを勧めている。