世界を変えた地図

著:サイモン・ウィンチェスター
訳:野中 邦子
早川書房 (2004/07/15 出版)
ISBN: 9784152085795
ーウイリアム・スミスと地質学の誕生
化石が含まれる地層がどの地質時代に成立したかの概念を表す「地質学」を創立した人物。
そのころは、ジェイムズ・アッシャーの主張する創世記:紀元前4004年10月23日午前9時、を信奉する人々で溢れていた。
「化石」は、神の恩寵を示すモノとしての、単なるコレクションの位置付けでしかなかった。
その化石の持つ意味を突き止め、地球上の各地質時代から成る地層の意味を始めて解き明かした人物が、ウィリアム・スミスであった。
それまで当然とされていた考え方を打ち破ることを成し遂げたのではあるが、現代に伝わる知名度は低い。
有名なダーウィンは、彼が広げた概念を更に推し進め、その後進化論を発表した。
「そこにあるもの」の持つ意味を問うことは、(世間に流布する)固定概念を打ち破ることに通ずる。
ただぼんやり視界に入ることと、存在の意味を認識することは違う。
しかし、その彼とてスーパーマンではなく、人間の弱さを多く持った存在であったようだ。