眼の誕生

副題-カンブリア紀大進化の謎を解く-
著:アンドリュー・パーカー
訳:渡辺 政隆 今西 康子
草思社 (2006/03/03 出版)
ISBN:9784794214782
生物の「目」が創造されたことによって、5億4300万年前爆発的に多種多様な生き物に進化したことを著述する。
博物館にある恐竜の色は想像で着色されている。
T・レックスの皮膚色は、所謂色素色であり、化石では現存しないからである。
一方、表面の細胞の組み合わせから光を反射する構造色は、化石から復元することができ、バージェス頁岩の生き物は七色に輝いていたであろうことを説明する。
p131に「カモフラージュ」の例として、オオシモフリエダシャクが紹介されている。
イギリスマンチェスターでの工業暗化として有名なオオシモフリエダシャク・チョウである。
木の幹にいるそのチョウが大気汚染を原因とする幹の黒化により鳥の摂食行動による淘汰圧を受け、黒色主体に変化したことから、オオシモフリエダシャクは「進化」の証拠とされている事項である。
しかし、オオシモフリエダシャクは木の幹に止まる習性はないことを指摘する向きもあり、現在では、疑問視されているらしい。
が、鳥によって発見・捕食されるリスクの観点からは、理屈上では説明しやすい内容ではあると思う。
p243では、レオナルド・ダ・ヴィンチカメラ・オブスキュラを発明したとあるが、原理はそれ以前から知られていたと思われるので断定できないと思う。