哺乳類天国

−恐竜絶滅以後、進化の主役たち-
著:デイヴィッド・R.ウォレス
訳:桃井 緑美子 小畠 郁生
早川書房 (2006/07/31 出版)
ISBN: 9784152087508
原書名:BEASTS OF EDEN(←East Of Edenのもじりですね)
イェール大学ピーボディ自然史博物館にある壁画に想を得て、哺乳類化石発掘に係わる人々、また恐竜絶滅以前から着々と進化していた哺乳類を紹介した本。
化石自体は、自ら世間に出ることはできないので、何時か・誰かが発掘しなければならない。
本書は、特に米国で繰り広げられた発掘・命名競争物語をたどりながら各説の毀誉褒貶を展開するところが興味深い。
当初ダーウィンは、「変化を伴う由来」というくどい表現を用いていたが、ラテン語で「巻いたものを広げる」というevolutioに由来するevolutionをいう言葉を、1860年代に社会哲学者のハーバード・スペンサーがあて、一般化した(p99)とあるのは知らなかった。
現在の知見では、白亜紀が終わったのは小惑星衝突によるものという説が大勢を占めているが、それは米国のアルヴァレズ親子がサイエンス誌に1980年に発表したことから始まったという・・・ごく最近のことだったんだ。
本書では、ウォルター・アルヴァレズ(子)に対して誰が話を持ちかけたかは記載が無いが、そのあたりは、リチャード・コーフィールドの「太陽系はここまでわかった」の方が詳しい。
また本書には付録として、件の壁画のカラー全図が添付されている・・・が生憎草加市立館蔵書本には失われていたので、いまいち内容が掴みきれなかった。
こういうとき、今では便利なインターネットがあるのでアクセスしたが、そちらでは重視されていないらしくて、画像リンクは切れた状態であった。