ありえない138億年史

著:ウォルター・アルバレス
訳:山田美明
光文社2018/2/15発行
ISBN:9784334962159
著者は、恐竜の時代が巨大隕石で終焉したことを示すあの(有名な)K-T境界を地層内に存在するイリジウムから唱えた地球物理学者で、今年、78歳になられるお方である。
なぜ、いまの時期にこのような一般向け啓蒙科学書を著したのか。
内容はこなれていて、約138億年の宇宙の歴史、約40億年を超える地球の歴史、数百万年の人間の歴史・・・それらの各イヴェントが、偶然でつながり、現在に至ったという。
同様のことは、かつてスティーヴン・ジェイ・グールドも述べている。
北米大陸を東から西に横断列車に乗ってそれぞれの車窓からの展望から地質歴史的背景を述べるところは、新鮮でよかった。
特にミシシッピ川が成立する以前の古代の当該大陸の様相の説明は興味深い。
科学史全体を概観するための好適書。
本書の良いところは、文字が大きくて大変読みやすいところ。
読者としては、K-T境界を大絶滅と関連付ける周囲とのいきさつを父親のルイス・ウォルター・アルヴァレズとの関連も含めて描写してくれれば、尚有り難かった。