ダーウィンの『種の起源』

名著誕生シリーズ2 
著:ジャネット・ブラウン
訳:長谷川 眞理子
ポプラ社:2007年09月
ISBN:978-4-591-09913-1
世界的な名著でありながら、現在あまり読まれていない『種の起源』を著した、チャールズ・ダーウィンの生涯から紹介し、何故彼がその考えに至ったか、またその後現在までの進化論に対する解釈の色々な論争についてを、平明に説明した本。
キリスト教の神がこの世を創造した、という今から見ると硬直した考え方に相対する見方が必要だという時勢に、産業革命を成し遂げたヴィクトリア朝時代のイギリスは至っていた。
正しく、その時代の要請としてその本は世に出た。
種の起源」それ自身今読むと、いささか辟易するほど事例説明が大変多く誠に冗長と感じる。が、「進化」というコペルニクス的転回を「その時代」に説明するためにはしかたがなかったのだろう。
しかも、現在のような染色体とかDNAとか強力な説明材料が得られなかった時代に。
「進化」という言葉は、2007.10/9の当日記のように、いろいろな意味で弄ばれることが大変多く、一個人の生涯で体験することはもちろんできない概念であるので、上梓後毀誉褒貶にも晒されている。
予備知識ないまま、「ダーウィン何とか」本を読んでしまうと、全く正統ではない考え方に染まってしまうこともありえると思うので、本書にあるその後の人物評は、大変役立つ。
もちろん、リチャード・ドーキンスもスティーヴン・ジェイ・グールドもでてくる。