大気の海

―なぜ風は吹き、生命が地球に満ちたのか−
著:ガブリエル・ウォーカー・・・2009.5/21「スノーボール・アース」の著者
訳 : 渡会圭子
早川書房 (2008/01/25 出版)
ISBN:9784152088932
酸素の発見者として歴史に名が残るプリーストリは聖職者でありながら唯物的な発言を繰り返し、反感を持った群集に実験室を打ち壊された。
その一連の物語が良く書けている。
世界初の無線通信事業者であるマルコーニは、多忙のためあのタイタニック号に乗り損なった話、また搭載した無線機により、人命が(多少なりとはいえ)救われた話、当の船に乗務していた無線通信士の話、よく取材し真に迫る書きっぷり。
また、あまり知られていないフェレル、ポスト、アップルトン、ビルケランドなどよくぞ丹念に掘り起こしたものだと、感嘆。
私たちが食べる野菜は空気から作られている、という内容は言われたらそのとおりだが、新鮮であった。
p109の「ティンダル効果」は、一般的には「チンダル現象」の方がよく言われている。
p282他で「放射能」とあるが、「放射線」と記すべき箇所が散見される。
全体の監修者が必要であったかも知れない。