宇宙のたくらみ

著:J.D.バロー
訳:菅谷 暁
みすず書房 (2003/09/24 出版)
ISBN: 9784622070610
帯:世界についての客観的見方とされる科学と、主観的なものとされる芸術はどのような関係にあるのか。
宇宙論学者として知られるバローが美的感覚の起源を解き明かす壮大な進化論的文化人類学
如何に地球が生命あふれる場所になったかを説き起こす。
この恵まれた環境は、神が人間のために最適の環境を作られたのではなく、ただ単にこうした環境にしか結果的に人間は出現しなかったのであり、その環境が人間の肉体や精神をどのように形成してきたかを豊富な材料を駆使し興味深く著す。
p123、パスカルのパンセからの引用-戦略ゲームの最初の例-が興味深い。
もし神が存在すれば、信仰は無限の報酬を、不信仰は無限の損失をもたらす。またもし神が存在しなくても、根拠の無い信仰によって失うのはうまくいけばゼロであるし、悪くても有限の時間と労力でしかない。パスカルの結論は、こうして不可知論者は神の存在に賭けるべきであるというものであった。